灯台下暗

俺が画期的なカーナビゲーションシステムを開発した。

目的地を設定する時、カーナビに目的地の住所を入力すると、液晶画面に衛星写真が表示される。あとはその表示された衛星写真から目的地をタッチすれば設定OKという優れ物。

これで特許申請すれば一財産築けると狂喜乱舞していたが、よく考えたら最初に住所を入力した時点で目的地は設定できており、何もその後に衛星写真をタッチする必要はなく、むしろワンアクション増えてしまっている。

ただし、そのことに気が付いているのは夢を見ていると認識している本当の俺。視線の先では相変わらず小躍りしている夢の中の俺がいた。

☆以前、開発品のアイデアで、トイレに入って扉を閉めると、自動的に施錠される鍵のアイデアを思い付いた(鍵の掛け忘れを防ぐため)。これは良いと小躍りし、結構なところまでアイデアを煮詰め、自信を持って部長に発表したが、「トイレから出て扉を閉めたら、その扉は二度と開かないじゃん」と一蹴されたことがある。

このように、一旦「良い」と思い込むと、客観的な視点が失われるという危険を俺自身が実際に経験した。