塾通い

帰宅すると、玄関の前にノザキ夫婦がいた。ドアより背丈の高い棒を、3本くらい持っている。どうやら自分たちの家だと思っているようだ。焦った気持ちになり、「私の家よー!」と2度ほど叫んでいた。家に入るとユカボンがいて、「おうち取られちゃった」と言う。それにしても真っ黒だ。さすがに焼きすぎだろう。

お母さんは不思議そうにしながら誰か来ていると言っている。一体我が家はどうなっちゃったんだろう?

リビングに入ると、大勢の人がいた。外国の人たちがいたので話そうとするものの、何を言っているかわからない。それでも話していたら、まぶたから薄い色の何かがべろ〜んと出てきた。怖い。私のまぶたに付けようとしているのかも?と思ったので、体勢を変えて逃げていた。

そういえば塾に行かなくちゃと思い出した。時計を見ると、もう家を出ていないといけない時間だ。非常に焦る。慌ててメイク開始。リキッドファンデが大量に付きすぎて始末に困っている。鏡を見ながら、中学生なのにメイクなんておかしいかもと思った。三つ編みだけほどけばOKだったかな?とも考えていた。

リイチとヨネさんが迎えに来てくれているので時間が気になる。しかし、よく考えたら今日は近い教室での授業なので、10分前に出れば十分だろう。少しホッとしていた。

ユカボンが来たので時計をかざして時間を聞いてみる。もう30分になっていた。やばい。待ってくれている二人のところに行くとヨネさんは一服中。前から吸ってたかな?と思った。

教科書の準備を始めたのだけれど、何を持って行ったらいいかわからない。大量に紙が入ったクリアファイルが出てきた。ヨネさんは「そういう風にファイルに入れておけばいいんだ」と感心した様子。「だけど何でもかんでもつっこんじゃってるからね」と私は笑った。

「今日は何を持って行けばいいの?」と聞くと、「何とかかんとかペーパーだけだよ」という返事。『そんなの持ってたかな?』と自信がない。そういえば、いつから塾に行ってないんだろう?早有は中2で辞めたはず。大人になってから一度行っていたような気もするけれど、それにしても久しぶりだ。「最近ずっと行ってないんだよー」と2人に話しかけ、「去年は行ってたよね?4月から10月の契約だったのかな」と続けた。自分でもそれで何となく納得した気持ちになっていた。

「あとはノートだ」と言うと、「3冊買えばいいんだよ」と言われる。3人で、古いノートを一斉に表にした。紺色のノートに白抜きでアルファベットのようなものが書いてある。何だか嬉しくなって、3人で笑った。

塾にやって来たようだ。席に着く。リイチもヨネさんも制服だと気がついた。遠くに座っているガアに至っては作業着(彼の会社の)だ。制服で来ればよかった、そうしたら間に合ったかもと思っていた。

ジュースを配っている人がいる。二種類のお茶を持っていたので、十六茶じゃない方を選んだ。するとガアがジュースを配りに来て、私の隣りに座った。カップラーメンの上面を私に向けてコミカルに歌い出したので驚いた。「どうしちゃったの〜?」と聞きながら、こんな反応も昔はしなかっただろうなと思っていた。

次に、私の指をガアの髪の中に入れろというのでやってみる。続いて耳の中。意味がわからない。最後は見ててよと言いながらハサミでその辺りの髪を切り始めた。「なんで切っちゃうの〜??」と聞いた。ますます意味不明だ。髪はクセ毛でボワボワ。以前の面影はない。あんなにサラサラリだったのになぁと思った。そして、こちらに向けた手を見ると、親指と小指の長さが同じくらいで判別が難しい。肌はミイラ風で、親指は水かきがつきそうな形をしている。変に思いながら見ていた。