カメラ付きリング

16号、夢庵相模大野店の反対側に私はいる。そのことにハッと気付き夢庵の方に目をやると、全体的に焦げ茶に塗られた夢庵がまだそこにあった。私は、もう閉店したんだなと寂しく思うと同時に、また姿を見られたことを嬉しく感じていた。入り口のガラスに何か貼り紙があるかな?と目を凝らしたけれど、特に何もないようだった。

写真を撮っておこうと思ったけれど、デジカメを持ってきていない。携帯のカメラじゃ画質が悪いしなぁと思った時、指輪にカメラ機能があるのを思い出した。1枚しか保存できないけれど、割ときちんとしたものが撮れるはず。私はさっそく指輪を外して夢庵へとかざした。少し離れたところにバリオがいたので、シャッターを押すのが少し恥ずかしく思えていた。

リングの内側に、細長いボタンのような部分がある。とても押しにくかったけれど、何とかそこを押し込んだ。指輪を見ると、きちんと写真が撮れていることがわかった。デジカメの液晶画面のような大きさでプレビューが見られたのだ。大したもんだなあと感心。

しかし写真の出来で言えば、ちょうどシャッターを押す時に向こうから人が来ていたので、二人ほど写真に写りこんでしまっていた。私はそれを消し、もう1枚撮ろうと考えていた。

その後は場面が変わり、お父さんが優しげに何か話していたり、ユカボンと一緒に何か喋ったりしていた。