夢庵

自転車で走っている。快適な気分。すぐに市ヶ谷だか飯田橋だかの辺りまで出た。もう少しで新宿だから行ってみようと思いついた。向かいながら、20分くらいで着くから電車より早くて良いぞと思っていた。彼にこの発見を自慢しようと考えて嬉しくなっていた。

どんどん進んでいくと、無料でマンガが読めるお店の中を通過した。「ここで無料で読めるんだから本なんて買うことないよ」というような話し声が聞こえた。通過しながら覗いてみると、お座敷のような部屋が並んでいてお茶を飲みながらマンガを読む人が何人か見えた。彼と来たら面白いかもと思ったので、少し戻ってみた。本棚代わりらしい押入れを見てみたら、読みたいような本がまったくなかった。少しガッカリして先へ進んだ。

気がつくと、小さな部屋に居て女の人と話している。「なぜ働きたいの?」と聞かれて、今が面接中なのだとわかった。面接官は小学生の時の担任だったように思う(W先生?)。

そうか、ここは夢庵なんだ!と思ったので働きたい気持ちを必死に語った。面接官は少し腑に落ちないような表情だったけれど採用してくれたようだった。採用が決まったとわかった時、急に鼻毛が出ているような気がしてきた。ちょっと手で引っ張ってみたらニュルーっと毛が出てきてしまった。軽く20cmはある。2、3本は抜けたのだけれど、まだ何本か残っているようだ。これがバレたら採用は取り消しかもしれない。

見られないうちに慌てて更衣室に行って鏡を見た。確かに鼻から数本の毛が出ていたけれど、前髪も随分長かったので同化してわかりにくくなっていた。ちょっとホッとして制服に着替えた。

店長室に入ると、オチアイさんがキャストの子に紹介をしてくれた。旧姓で呼ばれたので「○○です。○○になりましたー」と答えたら、あれっという顔をしながら「そっか」と言われた。昔使っていた名札をそのままつけたからウッカリしたらしい。「上から貼ればいいですかね?」と言いながら名札を外したら、下からもうひとつ名札が出てきた。パイナップルみたいな絵が描いてあった。オチアイさんが「もしかして部長バージョンも持ってる?」と聞くので「部長、課長も、何でも取り揃えております」と答えて二人で笑った。

「部長も課長も同じ(人)ですか?」と聞いたら「課長は市川真間店。」という返事だった。「あ、新店の。」と言いながら『市川真間店っていうテもあったんだ』と考えていた。

店長室を出ると、控え室には以前のメンバーが居た。ウエマツは「ちょっと貸してくださいね」と言って私からメモのようなものを受け取るとワースケにラインを引っ張っている。ああ、懐かしいなあと思った。左にはカワサキさんが座っていて怒涛の勢いで話し続けている。

ふと、来週レイコちゃんと遊ぶしスケジュールは大丈夫かなと不安に思った。そういえば、彼にもメールを入れずに出てきてしまった。帰ってから報告したら、昨日の不審電話事件で心配してるから怒られちゃうかも…と考えていた。

ワースケを見ると、ランチのところに線があった。そうか、私はもうランチの人なんだなと思った。でもディナーに時々出るっていうのもいいなと考えていた。またここで働けるんだと思ったら嬉しさが込み上げてきて、ニヤニヤしそうなのを頑張って抑えていた。どうして今まで復活しなかったんだろう?とも思っていた。今までと変わらないメンバーと働くことを想像してワクワクした。

場面が変わり、キッチンに居る。加護ちゃんがいてピザを作っていた。生地の上にロースハムを丸いまま数枚乗せて、真ん中辺りににカットされたピザを並べたりしていた。ヘンな乗せ方だなぁと思っていたら、加護ちゃんはトレーナーの人に注意をされているみたいだった。

☆私がバイトしていた夢庵は今はもうないので、目が覚めて夢だったとわかった時には心底がっかりしてしまった。実際に通うと2時間はかかるのだけど、夢の中では地元のような気分でいた。