クルクル巻き

ユカボンと話している。家のような大きさの部屋。カッチャン(勝俣州和)が下に捕まっているというので二人で上から名前を呼んでみた。すると本当に居るようで、何か一生懸命に叫んでいる。そして床の小さな隙間から次々に何か押し出してきた。多くはパソコン関連のコードや小さな周辺機器のようだった。下で使おうと思って買ったらしい。最初は何に使うんだろう?と思っていたのだけれど、ネットで間違って買っちゃったんだろうなとわかってきた。間違ってるよと言うのは少し申し訳ないような気持ちでいた。

私たちが床からいろいろ引っ張り出したので、その床は取り外されてしまった。吹き抜けのような感じになっている。ガラスのドアの向こうにカッチャンが見えた。何かいろいろ言っているのだけれど、顔はどう見てもクサナギくんにしか見えなかった。『こんなに似てたっけ??』と不思議に思っていた。

次の面会者がやってきた。カオリちゃんだ。プリンセスラインのドレスを身に纏っている。濃いめのピンク。私たちがいる場所とは反対側から嬉しそうに近付いてきた。向こう側は、黒いロープのような物で出来た壁で、下の方は30cmくらい開いている。閉まりかけたシャッターのような感じ。カオリちゃんはそれに気付くとロープを持ち上げて入ってきた。手にはチョコレートを持っている。バレンタインのプレゼントだな、と思った。私はコントを見ている時のような気持ちで「(ロープで出来たシャッターが)閉まったら面白いね」とユカボンに言った。すると本当に閉まってしまった。

照れたような顔だったカオリちゃんはびっくりして戻ろうとしたけれど、既に別の黒い布がザッと下りてきて、彼女を持ち上げながらクルクルと巻き上げていってしまった。ロールカーテンのような感じになっている。カオリちゃんはクルクルに丸められて、顔だけが外に出ていることになってしまった。せっかく可愛いドレスを着てきたのに、という様子で顔を覆って泣いてしまっている。

大変なことになってしまった。ここは一応牢屋なのだから、中に一歩でも足を踏み入れればこういうことになってしまうのだ。私はさっきの自分の軽はずみな発言を後悔していた。後で謝ってイーコイーコをしてあげなくちゃと思っていた。

自分たちも気をつけて脱出しなくてはいけないことを思い出した。既に掃除のおばさんたちがウロウロしている。なぜか、掃除の人たちはあちこち歩いても大丈夫なようだ。私は『どうしてそんな都合よくわかるんだろう?』と考えたけれどわからなかった。

ダーリンと、お肉屋さんで挽肉を買おうとしている。さっきも買ったような気がして、「さっきのは何だっけ?鶏?」と彼に聞いたけれど覚えていないようだった。でも挽肉なら多くても困らないし、もう1種類買っておこうと決めて店員さんに注文をしていた。

場所が変わって、どこかのお店にいる。私のお財布がないことに気がついた。ユカボンと少し焦っている。先ほどまで一緒にいた外国の女の人が怪しいと考えたけれど、既に彼女は帰ってしまった後だ。払っていくと言っていたのに…。

急いで走っていった。お父さんがいたので彼女に何か預かっていないかどうか聞いてみる。「あぁ、預かってるねえ」と言われたのでホッとする。何かのクーポン券が1枚と、コインのような物が一つだけだった。「これじゃ足りないんだよう」と訴えた。次回会ったらお金を受け取っておいてくれるように頼んで出発した。

お父さんは自転車に乗って帰っていった。いつの間にか学校帰りということになっているらしい。『渋谷から自転車で帰れるなんていいなあ』と思った瞬間、自分も自転車に乗っていた。嬉しくなったものの、周りには悪い人たちがたくさんいることに気が付いたので注意しながら駅に向かった。

自転車を停める場所に困っている。他にもたくさん停まっているから場所がないし、そもそも次回いつ取りに来られるかわからない。ウロウロしていたら、友達の女の子が助けてくれた。コーンを勝手にどかして場所を確保してくれたので、たくましいなあと思っていた。彼女は私の自転車を停め、チェーンの鍵を取り出すと数台分の自転車すべてと繋いで鍵をかけようとし始めた。私は慌てて「それはしたくないの」と言った。彼女は驚いたような顔をしていたけれど、必死で「こうしないと危ないってことはよくわかってるんだけど、こういうことはしたくないの」と涙ながらに訴えた。彼女は諦めたように息をついてチェーンを渡してくれた。私は「ごめんなさい」と謝って駅の階段に向かった。