傍観

ミギと車に乗っている。高速道路のような道。運転しているのはミギなのだけれど、いきなり車線を変更したり合流するのがギリギリだったりする。大きなトラックやバスにクラクションを派手に鳴らされまくっていた。私は後部座席からハラハラ。見てられないのでもう横になって寝てしまおうかと思ったけれど、それで死んでしまったら彼が悲しむだろうなと思った。考え直して「アブナイ!」とか声を掛けたりしていた。

知らない女の子が2人で話をしている。一緒にいてはいけないという決まりが出来てしまったらしい。名残惜しそうに別れ、離れて歩いていった。

気が付くと、そのうちの一人が崖のような所に立っているのが見えた。かなり高い場所だというのに、彼女は端に立ち下を覗き込むような体勢で鼻をかんでいた。横から見ると上半身と下半身が90度の角度を作っている。手でかんでいるからなのか、鼻水が崖の下に落ちるようにとの工夫らしい。私は部屋の中からその様子を発見し、『危ないなあ、落ちちゃうよ』と思いながら見ていた。こんな事になったのは、鼻をかんではいけないという決まりが出来たからだなと思った。

下に戻ってきた彼女は、ついさっきまで自分と話していた相手が、別の女の子と仲睦まじそうにおしゃべりしているのを見つけた。相手は彼女に気付いたのにもかかわらず、チラリと見て意味ありげに笑った後は知らんぷりしておしゃべりを続けている。そこで彼女は気が付いてしまった。自分は捨てられたのだと。今しゃべっている子が次の相手なんだと理解した。更に、「話してはいけない」というのも「鼻をかんではいけない」というのも、自分を一人にさせるために出来た決まりだったのだと判った。

私はその様子を、切ない映画を観ているような気分で眺めていた。