飛んで逃げる

飛んで逃げる。順番通りに何かをすることで、上手いこと脱出できた。海を越え山に着き、草の影に身を潜めた。いつの間にかサーちゃんを抱っこして、元いた辺りを飛んでいる。同じ手順でやればいいとわかっているが、いかんせんサーちゃんが重すぎる。追っ手が迫っているのはわかっていたので、近くに置いてあった横長の大きな紙袋にサーちゃんを入れてすぐにそこを離れた。その紙袋はトラックのような車の上にあった。車が出発しちゃうからまずいよーと別の私は思っている。紙袋にサーちゃんを入れた当事者の私は、すぐに迎えに来るつもりでいたのだった。一人になったので身軽になり、再び飛んで逃げる。建物に入った。黄色い服で目立つので、着替えたい。階段の踊り場にあるロッカーを開けた。振り向くと、お掃除のおばさんになっていた。ここでは第三者的な視点。奥の壁全部が巨大な冷凍庫になっている所へ向かう。私は冷凍庫の中の、上の方の棚を見ていた。追っ手たちが来た気配を感じる。そこで初めて、自分は浮かんだ状態で一番上の棚を覗きこんでいることに気がついた。やばいと思いつつ振り向く。しかし、なぜだか彼らと同じ高さに立っていて大丈夫だった。素知らぬ風ですれ違ったが、少しだけ怪しまれているような感じもあった。場面変わり、バーのカウンター。誰か男の人と並んで座っている。友達のような感じ。男の人は、バーボンか何かを2杯続けてジョッキで飲んだ。私は、きっとこの人は後でダメになっちゃうだろうと思っている。悪そうな男たちが3人入って来た。私は一瞬前に危険を察して席を立っていたので、間一髪、店の外へ出られた。しかし一緒にいた男の人がまだ中にいる。酔っているからすぐにやられてしまうだろう。私は店の中に顔を見せ、「言っとくけどその人鑑別所から出てきたばかりだから」と言い放ってまた外へ出た。策を講じたつもりだったが、逆効果であることに良く考えたら気付いていた。