コンサート

会社だか学校だからか帰る途中。階段の手すりの平らな部分に、私の携帯が置いてあるのを見つけた。手に取ってメールをチェックしてみると、マユミちゃんから入っている。未読のタイトルが2、3通目に入った。

自宅の最寄り駅から歩いている時にそれを見て、不審に思う。今日は何日だっけ?19日だっけ?そうだ、19日だ!!どうして忘れていたんだろう、今日は藍屋のコンサートの日じゃないか。

まずい、もう始まっているに違いない。こんなことなら、さっきマックなんかでノンビリしているんじゃなかった。時計を見ると19時15分。実はもっと長居しようかと考えていたので、それをやめただけでも良かったなと思っている。頭の中でイロイロと考える。押上で半蔵門線に乗り換えるのが一番早いだろうと思った。

家に戻り、急いで出かける準備をする。生理中だったことを思い出し、大きいナプキンを探し始めた。しかし、大人用のおむつなどさまざまなパッケージが並んでいてなかなか見つけられない。そしてやっとの思いで発見し、一つだけ手に取った。

次は着替えだ。ジーンズの膝上のスカートを履いていたのだけれど、これを普通のジーンズに替えるかどうかで迷っていた。それから靴を交換した。走って行かなくてはならないだろうから、コンバースの黒いロータイプを履いた。これなら走りやすいだろう。

家を出ると、雨が降っていた。構わず走り出したのだけれど、靴がゆるかったようでスッポリと脱げてしまった。私の前方1mほどの場所にポトリと落ちる。それを見た途端、絶望的な気持ちになった。戻ったら時間のロスだ。しかし、こんな状態じゃこれを履いていくわけにはいかない…。仕方なく、家に戻る。すると彼がいたので、近くの駅まで送ってもらうことにしていた。

場面が変わり、会場近くの駅っぽい場所にいる。一周ぐるりと廊下のような通路が続いていて、中央は天井まで吹き抜けになっている。私はその最上階にいた。他にもたくさん人がいて、通路は行列になっている。初詣のように、ニチニチとしか進まないのだった。

焦りながら進む。すると、備え付けのスピーカーから「アンコールアンコール」という声が聞こえてきた。どうやら、コンサート会場の音らしい。もうアンコールだなんて早すぎる。21時過ぎまではやっていると思っていたのに…。もしかすると18時からの開始だったのかもしれないなと思った。きっともう間に合わないだろうと思うと、ひどく悲しくなった。藍屋のコンサートなんて二度と見られないかもしれないのに。そう思いながら、ところで誰が何を歌ったんだろう?と考えたりもしていた。

結局、私は間に合わなかったようだ。メールを見ると、オチアイさんやマユミちゃんから入っているのがわかる。私が来ないのを不思議に思っているだろうな、と考えていた。

仕方ないので、このまま帰ることにした。いつの間にか、別の小さい駅にいた。彼がお迎えに来てくれていて、切符を買ってくれている。JRの区間を言っていたので、JRと京成ではどっちがいいだろう?と考えていた。