メイク教室

3人の女の子が並んで座っている。私はこれから彼女たちにメイクをしてあげることになっている。女の子たちはウキウキした様子だったけれど、私は不安だった。

メイクの技術なんて無いに等しいくらいなのに、果たして満足するメイクをしてあげられるだろうかと考えていた。とりあえず、自分のメイク道具を並べてみた。アイシャドウもいつものしかないし、これじゃあ足りない気がする。下敷きのようなものを立ててさりげなく見えないように置いたりしてみたが、怪訝に思われるのも時間の問題かもしれない。

一番左に座っていた子には、既に下地ファンデをしていたようだ。他のをしてみたいんだったか、何か言われたので、私は「それなら顔を洗って最初からやり直す?」と聞いた。彼女はパッと嬉しそうな顔になった。

その間に、他のメイク用品を取りに行くことにした。所持品をすべて総動員すれば何とかなるかもと思っていた。廊下に出た時にタオルを忘れたことに気が付いて、部屋に戻った。女の子たちが座っている場所の下の部分に引き出しが付いていて、そこにタオルは入っている。「ごめんねー」と言いながら開けてみると、外から水が浸入してきて引き出しにもたくさん入ってしまった。慌てて閉めたけれど、おそらく他のタオルは水浸しになってしまっただろうと思った。見て見ぬフリをして、再び廊下に出た。

突きあたりが洗面所だった。しゃがんで棚を開き、メイク道具を物色する。以前セットで買ったものの一度しか使っていない下地などが出て来た。2種類あったけれど、同じファンデーションのシリーズのようだったので、小さい方だけど手近にあった袋に入れた。更に、たしか最後にはたくお粉があったハズだと思い探していると、お母さんが呼んでいる声がする。もう集合の時間らしい。

私は切り上げて廊下を歩いた。奥まで行くと、そこには2、30人くらいの人が集合していた。私はタオルを腰に巻いたままだったことに気付き、恥ずかしい気持ちになった。急いでタオルを外したが、『でもこの下もジャージなんだよね』と自虐的な気分になっていた。

ハナちゃんや、さっきの女の子たちもいる。数えてみると、6人いた。おかしい、さっきは5人しかいなかったじゃないか(いや3人だろう?)。一人、存在しないはずの人間が混じっている。私は少し怖い気分になっていた。

廊下の先は、体育館だった。私は上手に出来ないことがわかっているので嫌な気分。そこで、練習をすることにした。手前と奥にベンチがあり、私はその間を一生懸命に飛び移っている。何度もやっていると、先生がこちらを見ているのがわかった。先生は、私の必死さを認めてくれたらしい。なかなか上手いよというようなことを言ってくれたので、すっかり嬉しくなった。「本当ですか?」と答えながら近付いて行くと、先生は「碇ゲンドウ」だった。その後も隣りに並んで何か会話していた。

気が付くと、図書室の前の廊下にいた。誰かと一緒に居る。さっきの「一人増えてるよ現象」を解明しようというつもりらしい。廊下は、突きあたりで右へと曲がっている。私たちはそちらを覗きこんでみた。左右に壁一面の本棚がある以外は、誰もいない。「いないね」と言いながら、諦めて戻ることにした。少し歩いてから振り返ると、女の子?のような白い影がフワーンと飛んで、窓から外に飛んでいくのが見えた。一緒にいた子が「何?」と聞くので、私は「何か白いのが見えたよ」と答えていた。

☆「碇ゲンドウ」は、昨日エヴァの映画を観たので〜。