歌詞を聴く

俺とともちゃんとユカボンで、車で旅をしている。よく地方で見かける横に広い大型ショッピングモールが、あちらこちらに経っている。俺は運転しながら、「俺は旅情を感じたいが為に旅に出るんであって、ああいう建物には 意地でも入んねーからー」と2人に力説している。

車の中で聴いていた音楽の歌詞をどうしてもマスターしたいと、ユカボンがごね出した。俺たちは怪しげな公衆トイレで車を降り、3人でトイレの中に入った。いつの間にかラジカセを持っており、そこから流れる歌に必死で耳を傾けている。俺は歌詞をメモろうとしていた。

「愛する為に〜」とか聴こえてきた時、個室から水を流す音がして歌詞が聞こえなくなった。「ダメだな、これは…」と言うと、ともちゃんが個室のドアノブをつかんだ。「早く出て来なさいよー」とガチャガチャやり出した。俺たちは、ともちゃんを置いて逃げた。