ブレザーの傷

バスに乗っている。ところでガッチョン(小学校同級生)は、夏の時期にバスに乗るらしい。そう誰かから聞いた。私は隣に居たタナカユウキちゃんと話し、どうして夏にしか乗らないの?と疑問を持った。マラソンでもしてるのかなぁと思いながら本人に聞いてみた。

すると、少し照れくさそうに自分の紺色のブレザーを指さしている。年号を間違えて作られてしまったということらしい。脱いでくれたのでタグのところを見せてもらうと、刺繍が「2039」となっていた。本当は1039だから明らかに間違っている(と思っていた)。

「ほんとだー」と言いながら見ていたのだけれど、ふと気付いて「でも作り直してくれるんでしょう?」と質問した。ガッチョンは、でもボロボロなんだと言った。よく見ると、たしかにあちこちが傷になったり穴が開いたりしている。その部分は深いグリーンになっていた。ユウキちゃんのブレザーに目を移すと、同じような状態になっていた。細かい傷がたくさんあって紺と緑が半々くらいになっている。

私のだけ良い状態なのはなぜか。第一子だから?などと考えていた。何となく申し訳ない気分で「まだ買ったばかりだからねー…」と言いながら自分のブレザーを見ると、驚いたことにあちこち傷や破れができていた。左の鎖骨の辺りは裂けたようになっている。『あの時のあの動きで敗れちゃったのかも』と思い当たる仕草があったので何となく納得していた。