1月1日明け方の夢

【踏み締め祭り】

エジプト文明研究の第一人者である吉村作治。彼と、彼が率いる調査隊は、ピラミッド内部の地下深くにある縦長の部屋に、巨大な足の骨の遺跡を発見した。「足」といってもいわゆる「脚部」では無く、足首から下の部分だけが部屋の奥の壁に鎮座されている形になっていた。その骨を現代の最新技術で当時の状態に復元した結果、どう復元しても「巨大なスニーカー」になる事が判明した。更にその部屋には、およそ何千という人骨が、粉々に圧縮された状態で何層にも重なるようにして敷きつめられている事も判明した。

以上の調査結果より、古代エジプトでは、年の初めに大地の神への感謝として、数百人を人身御供として部屋に敷き詰め、その上を巨人に踏み締めさせる事でその年の豊穣を願った「踏み締め祭り」が行われており、この足の遺跡は、その祭りに使用された巨人の足を祭る祭壇、即ち「踏み締めの祭壇」である事を示すものと結論付けられた。

※俺の考察
いくら古代エジプトという神秘を感じる時代とは言え、本当に巨人が存在したとは考えづらい。したがって俺は、巨人とは恐らく大地神を表したものであると考えた。そして巨大な足の骨は大地神を象徴する、人の手による創作物であると考えると合点が行く。しかしそれでも、人為的な創作物である足の骨を復元すると、どうしてスニーカーになってしまうのかが疑問であり、その問題はこれから考古学者の間で繰り返し熱く議論される事になるだろう。

【“本”という名称の由来】

古代、現代で“本”と呼ばれるものは全て「紙」と「骨」で構成されていた。当時にも本を読まない若者はいたらしく、若者は大人に本を渡されると、すぐその辺に投げ捨てていた。それを見ていた大人達は、「そんなにすぐポンポンと放(ほう)んなやー」と言い嘆き、その“放ん”が後に“本”の語源となった。

※補足
本に使用される骨は、補強の枠組みとして四辺に使用されている。

【骨関連の夢を見た原因】

この二つの初夢は、いずれも「骨」に関連する内容だった。どうしてそのような夢を見たのかを考えた結果、思い当たる節が一つだけあった。俺が江東区で入店したコンビニの雑誌コーナーで、「吉村作治 世界の骨」という、吉村作治が所有している世界中の骨の写真、エピソードを一冊にまとめた本を立ち読みしたからだ。恐らくその時に読んだ内容が、今回の初夢につながったのではないかと考える。

と、ここまで考えて矛盾に気が付いた。俺は江東区のコンビニなどに行った事は無く、恐らく先述の本も現実には存在しないだろう。したがってこのエピソード自体も初夢の一つである。